■ ” 360°全天空動画 ” ムービーCam発売続々 ヴァーチャルリアリティ元年に加速

http://s.rbbtoday.com/article/2016/01/08/138545.html

 

VR(ヴァーチャルリアリティ)の注目で、新たなガジェットの発表が続いている。”VR”は、従来の映画のような”決められた映像”の視聴とは異なり、視聴者が自分の意思で、その場面の全方向360°を見回せるのが特徴だ。いままでの写真やムービーは当然、レンズが向いている方向のみを撮影してきたわけだが、現在注目されている360°カメラは同時に、全方位を収録し、ドコを見るかが視聴者に委ねられる。モニターで視聴する場合はマウスで、タブレットの場合は指で、”位置センサー”を内蔵するスマートフォンのようなツールでは、向けた方角の映像が展開する。大型スキーゴーグルのようなHMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)を装着すれば、眼前に広がる全方位の風景はさながら、視聴者自身が映像の中心に放り込まれたような”疑似体験=ヴァーチャルリアリティ”を実現する。

 

キラキラ輝く普通のコトを書いてみたが、映画製作者としての不安が払拭できずにいることを告白しておく。”全方位”つまり、カメラマンすらも映し出してしまうこの厄介な技術の誕生は、世間の期待値に比例する映像製作者のストレスでもある。撮影現場のあらゆる技術が、また、登場人物を独りずつ場面ごとに指揮するためのSCRIPT(映画脚本)の書き方までも、一切のルールが通用しないのだ。

 

映画誕生の黎明期、”写真が動く!”という衝撃に世界が仰天、物見高い人々が押し寄せたわけだが、1895年その世界最初の映画は、フランス、リヨンの街にある工場から出てくる労働者を映しただけの46秒の短編、その名も「工場の出口: La Sortie de l'usine Lumière à Lyon」だ。”技術”が先行したワケだ、やがて”ドラマツルギー”を吸収し、特撮満載世界初のSF映画「月世界旅行」が誕生するに至る。現代にも活用されている特殊技術として、スタジオ撮影、ミニチュア、大型セット、特殊メイク、火薬エフェクト、多重合成までが用いられている。驚くべきはそこまでにわずか7年間しか時間を要しなかったこと。世界初の技術を吟味し、類する必要な機材の改良を続けながら映画製作会社を設立し、企画を立ち上げ、手法を考案し、撮影して完成させ、大盛況の上映を成功させるまでが、わずか7年間なのである。しかも直後には世界公開、3年後の1905年8月には、日本の明治座でまで、公開を成功させている。”映画館”など存在しなかった時代の出来事。以上だ。なぜこんな話をしておきながら文末を〆ずに執筆を終えようとしているのかは、察して頂きたい。 [ エドリード・ジャパン編集部 / EDL-editorial dept.]