■ 米国アカデミー賞 三重県在住35歳日本人が科学技術省受賞!

http://www.asahi.com/articles/ASJ1C6V90J1CUCLV006.html

 

いわゆる「アカデミー賞」だ。中でも本受賞は、映画界全体に影響のある意義深い活動への賛辞であることが嬉しい。良い映画(定義は不可能だが)がアカデミー賞の各賞を受賞することは分かりやすい。映画を作った”技術”が受賞することも、ご承知のことと思う。一方今回は、”映画を作った技術を生むための技術を創った”コトへの受賞だ。敢えて分かりにくい書き方をしたのは、この後の、少々難解とも思える説明を読破頂くための準備運動を狙ったモノだ。

 

35歳の中垣清介さんは、映画を作っているわけではない。映画で多用されている「CG」(computer graphics)を作るために、便利で画期的な「MARI」というソフトを開発したコトが評価されての受賞である。”CG”というと、SF映画やディザスター映画を思い浮かべる方が多いかと思うが実は、”大作”と言われる映画の過半数がこの、CGを用いている。恐竜や宇宙人を登場させる場合は分かりやすい。小さな舞台セット延長して巨大な建造物を作ったり、架空の風景を生み出したりすことも、ご理解頂けるコトと思う。しかし実は、時代劇に映り込んだボーイングを消したり、女優の小じわを隠したり(失礼…。)すことにも使われている。分類は細かいが中でも”3DCG”と呼称する、立体的なCGキャラクターの製作時に、中垣さんのソフトが活躍する。

 

CGは、カタチをデザインし、その中に筋肉と骨格を設定してやればアニメーションが可能になり、動かすことがデキるようになる。しかし、カタチを作っただけではまだ透明なCG。光を反射し、物理的なリアリティある姿で映画の前面に立たせるためには、実物だと信じられる”表面”で被ってやらねばならない。”テクスチャー”と呼ぶ皮膚の断片を作って貼り付け、重ね、透けさせてみたり、伸ばしてみたり張り直してみたり。終わりの無い作業の連続の中、スタッフの誰もが想った。「目の前にある立体物みたいに、直接色が塗れれば良いのに!」それを実現したのが「MARI」であり、それを創ったのが、我らが中垣さんなのだ。世界中の映画製作者が自宅で仮眠を取る時間を作ってくれた中垣さんは、現代の救世主なのである。 [ エドリード・ジャパン編集部 / EDL-editorial dept.]