■ 中国大富豪 米国第2位映画館チェーンに続けて HOLLYWOOD映画製作会社買収

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O0TL326TTDSA01.html

 

・ 先端IT企業に出資する謎の映画会社レジェンダリー・ピクチャーズ

 

HOLLYWOOD史上に類を見ない大事件だ。聞き慣れない会社が中国の大富豪に買収された、それ自体は連日ドコにでもある話なのだが、事態は少々難解だ。執筆現在もまだ、その全貌が判明していないことをおことわりしつつ、概要を記してみる。

 

「レジェンダリー・ピクチャーズ」11年前、HOLLYWOODの映画製作拠点カリフォルニア州バーバンクに、突如出現した映画会社である。初動から勢いのあった同社は軽々と、大手映画会社ワーナー・ブラザーズと手を組み、クリストファー・ノーラン監督の大作”バットマン ビギンズ”を製作、公開。順風満帆かと想われた矢先、映画”シックス・センス”で名を上げたM・ナイト・シャマランの大作”レディ・イン・ザ・ウォーター”が大失敗に終わるもダメージ無く、超大作を次々発表。空前の大ヒット作”ダークナイト”、”インセプション”を生み、続く”ダークナイト・ライジング”の大ヒットを機に、恩社ワーナー・ブラザーズと決別。単独で”スーパーマン”や”ゴジラ"を復活させた。その間わずか8年。直後にHOLLYWOOD映画業界最大手のUNIVERSALと契約を結び、”ジュラシック・ワールド”で、映画界興行収入記録で頂点に立った。公開終了直後の本年、その全権を中国の大連万達グループに売却した恰好だ。

 

HOLLYWOOD映画界で巨大な力を有することとなった同グループは、主に不動産開発を手がけるコングロマリットだ。中国全土の映画館を買収しつつ、この大事件の裏で既に、全米第2位の巨大映画館チェーンを買収済みだ。同コングロマリットを代表するのは、中国一の富豪”王健林氏”。本月12日北京で開いた記者説明会で、王氏は宣言した。「世界の映画産業における中国の発言力を、向上させる。」

 

日本もかつての1989年、コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(Columbia Pictures Entertainment Inc.)を買収。現在のソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(Sony Pictures Entertainment Inc.)の傘下に収めた。レジェンダリーの本件買収劇よりも13億ドルの高額を投じたモノの、全米の反感は不買運動に発展。ヒット作にも貧しく巨大赤字に苦しんだ経緯がある。奇しくも「ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントへのハッキング事件」が国際ニュースとなり同社が再び窮地にあった今から1年前、ソニー・ピクチャーズの手を離れた権利を活かし、レジェンダリーが生んだ”Godzilla”が劇場で大暴れしていたのは、皮肉なものだ。

 

HOLLYWOODは今、本件を語ってはいけないムードのまま、不穏な新年を迎えている。 [ エドリード・ジャパン編集部 / EDL-editorial dept.]