■ 働きがいのある企業ランキング・トップ50

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”匿名の社員・元社員”による、”就職・転職のための企業リサーチ”だ。そもそも、「本当に働きやすい企業なのかどうか、実態を掴むことはなかなかできません。では、実態を知るために――」とある。日本はどこまでも恵まれた、穏やかな国なんだと安堵する反面、企業の情報発信方針に一抹の不安を覚える。

 

企業ブランディングを預かる場面において耳にする、お決まりのキーワードがある。「取引先(お客様)」「社員」「株主」だ。”取引先”はわかる。販促においてもブランディングを重視する大きな要因だ。”社員”、コレは当然だ。人生を捧げて自ら背負っている社の旗を掲げるに、その本質には過敏なまでに意識が向けられる。そこで毎回疑問に感じるのが、「株主」だ。デファクトスタンダードを崇めることがこの国のベストな指針だなどとは、微塵も思わない。むしろ、嘲笑されることも多い”ガラパゴス化”にこそ、日本の個性を強く反映しつつ世界を奪取できる可能性を感じている程だ。しかし、”株主”を意識しすぎる余りに過剰な情報吟味が行われ、選別された後に最終決定される情報はどれも、色も温度もない冷凍焼けした干物のようで、”魅力”なはずのそれらは、腐臭さえ放っていることがある。そんな株主総会は、受付次点で不穏な空気を生み、セリフ通りのスピーチと社交辞令の拍手で終わる。誰のためにも無味乾燥な、”プロセスだけの儀式”として。場を切り裂く冷徹な質問や退席が一切無いのも、傾向だ。それが狙いなら、成功しているとも言える。散会後、役員たちの安堵と笑顔を見る度に、残念に思うのだ。株主たちが見たいのは、貴方たちのその笑顔と輝く人間性なのに、と。

 

ブランディングのプロセスにおいて、株主を意識することは方向違いだ。「ブランディング」とは、サービスを商品を華美に飾ることではなく、企業の本質こそをさらにそぎ落として唯一無二の価値を研ぎ澄まし、虚飾の海を切り裂く一刀を鍛える作業だと信じている。「社員=株主」だと見定めれば、向かう先は一方向。その”取引先(お客様)”とて敵ではなく、詰めかけるファンに向かってステージを歩むスター然としていることが、自然だ。指揮官に賛同した全社員、全株主自慢の”本物”を取引先に披露するこの瞬間は、興奮と喜び以外に無い。身内である社員や株主に作り笑顔を必要としているならまだソレは、BRANDでは無い。時間をかけて、本物の一刀を鍛えることに注力すべきだ。

 

そんな努力は必然、会社の枠を越えて溢れ出す。抑えきれない情報、その質に相応しい道を与え、迷わぬように社の名を添えて送り出してあげることが、「企業の情報発信」だ。信じてもらうことは容易ではないかもしれないがその情報が”惨憺たる大失敗報告”であったとしても結果、必ず好意的な評価を生む。就職希望の新卒者たちが、株主が欲しいのは、どんな情報だろう。今一度、社内の法令遵守を疑ってみてもらいたい。

 

ところで、”法令順守意識ランキング”の第1位は、「裁判所」だった。そこまで調査対象が広かったことに笑ってしまったが、昨年は”4位”。笑えない。 [ エドリード・ジャパン編集部 / EDL-editorial dept.]