■ 「決して安くない」のに、なぜ成城石井で買ってしまうのか?

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1602/12/news026.html

 

出身を問われて、神奈川県ではなく、横浜と答える。スーパーに行くことを、成城石井に行くという。どこかで聞いた話だ。これ見よがしに成城石井のエコバッグを持ち歩くブーム、なんてのもあった。見栄っ張りの言動を揶揄しようというのではない、数あるスーパーの中で景気に逆行してまで躍進を続ける”ブランド”についての話だ。そこには並々ならぬ努力がアリ、業界の常識をこえるコダワリと徹底した商品クオリティがある。しかし、それを他店が真似たところで、売り上げが上がるだけだ。”ブランド”は誕生しない。高級店とはいえ、華美な装飾も似つかわしくないスーパーマーケットという戦場で、成城石井だけがブランドになり得たことには、明確な理由がある。

 

”お客様のために” というメッセージを掲げる企業は多い。しかしその多くは、"出来得る限りの努力をする"という、社内ルールの範疇に限定されている。しかし本来のお客様には、会社体力や社内規定など関係ない。では、それ以上の尽力が、お客様を魅了するブランド認可へのカギだろうか。残念ながらそれすら、至極当然な努力の範疇でアリ、十分ではない。ともすれば、方向違いですらあるコトもある。極論を言ってしまえば、「ブランド」には、他社を越える規模も、より多くの品揃えも、もっと言えば、他社以上の売り上げすら、必須ではない。必要なのは、唯一無二の独自性。「あぁ、オリジナリティの話ね。」と思った方は、その意味を理解しているだろうか。他社リサーチの中から、オリジナリティは見つからない。お客様のご要望アンケートの中にも、無い。無理矢理背伸びしてビッグデータから学んだディープラーニングを以てしても、オリジナリティは見つからない。”お客様のために” それは、最終的な結果であって、目的であってはいけない。これではまるで八方ふさがりに見えるが、そうではない。

 

オリジナリティは、「自分勝手」の先に、みつかっているコトが多い。お客様の前に、先ず自社、先ず自分が求めるモノを優先するワケだ。かつて未知なるデバイスを誕生させたリンゴ印の創業者は「こんな画期的な商品をどんなリサーチから思いついたんだッ!?」と問われ、「リサーチ?するわけが無いだろう。客は、見えるモノしか知らない。」と答えた。ブランドにまで昇華する企業、サービス、商品の価値は常に、「非・常識」の中から生まれる。それは、あなた自身の中にしか、存在していない。ならば、顧客やクライアントをリサーチする前に、顧客やクライアントが”必要なモノに気付いていない” ことに気付くべきだ。我を通し、 ”見せて” やれば良い。BRAND誕生の瞬間だ。 [ エドリード・ジャパン編集部 / EDL-editorial dept.]